人体から採取された組織や細胞などの生体試料は、輸送時に厳重な管理が求められます。法規制の対象とされている点にも注意が必要です。運びたい生体組織の種類によって、適切な温度や梱包、輸送方法は異なります。ここでは、生体組織別に検体輸送時のポイントを紹介します。
生体組織の検体輸送とは、人体から採取された組織や細胞などの生体試料を、安全かつ適切な温度管理の下で検査施設や研究所に運ぶことです。疾患診断、治療効果の評価、遺伝子解析や再生医療などに利用されます。
生体組織として良く運ばれるものは、細胞や病理検体、血液、卵子(胚)、唾液などです。それぞれ輸送時のポイントを紹介します。
細胞の検体輸送は「凍結輸送」または「定温輸送」の2種類です。凍結輸送ではドライアイスやドライシッパーを用います。極低温で長期間保存が可能ですが、専用容器や技術が必要です。定温輸送では細胞を生きた状態で運びますが、温度変動による品質低下リスクがあるため、厳密な温度管理が求められます。
病理検体の輸送時は、検体の品質を維持するために厳密な温度管理が必要です。また、三重梱包など適切な梱包を行い漏洩や破損を防ぎます。感染性物質を含む場合は感染症法や航空法などの規制を遵守し、適切なラベル表示を行います。輸送中の衝撃や振動を最小限に抑えることも重要です。
血液の検体輸送では、種類ごとの厳密な温度管理が必須です。赤血球は2~6℃、血小板は20~24℃、血漿は-20℃以下、末梢血幹細胞や臍帯血は-150℃以下と対象により適温が異なります。感染症法に基づく三重梱包(一次・二次・三重容器)で漏洩防止と品質維持を図り、航空法や病原体管理規制にも対応した適切なラベル表示が求められます。
卵子(胚)の検体輸送では、液体窒素温度(-196℃)を維持する「ドライシッパー」を使用し、IATA認定の専用容器で厳格な温度管理が必須です。専門輸送業者を利用し、航空法や感染症法に基づくラベル表示・三重梱包でリスクを低減します。
唾液の検体輸送では、検体採取後30分間の飲食・歯磨きを禁止し、保存液添加後は厳密な漏洩防止策が必須です。常温輸送時は三重梱包(一次容器のパラフィルム密封、防漏性二次容器、緩衝材入り外箱)で物理的衝撃と漏出を防止し、感染症法に基づく「UN3373」ラベルを明示します。
生体組織の検体輸送では、運びたい検体の種類によって注意点が異なります。品質を安定させたまま運ぶためには、適切な輸送に対応している輸送会社を選ぶことが重要です。輸送会社によって専門が異なる可能性もあるため、運びたい検体に適した輸送会社を選びましょう。
このサイトでは「生体検体」「乾燥・凍結検体」「実験動物検体」に分けて、それぞれの検体に適した輸送方法を有するおすすめ輸送会社を紹介しています。検体輸送会社選びの参考にしてください。
生体組織として良く輸送されるものは、細胞や病理検体、血液、卵子(胚)、唾液です。それぞれの生体組織に適した温度管理と物理的保護が求められます。また、感染症法や航空法など法的規制の遵守が必須です。特に病原体含有検体は注意しましょう。
検体を一般貨物で送るのは、多大なるリスクを伴います。冷蔵・冷凍保存したとしても、その温度が適切に維持できていなければ品質劣化を招きます。劣化した検体からは、正しいデータは取れません。
といっても、すべての検体に温度管理が必要なわけではなく、重要なのは検体にマッチした適切な輸送方法かどうか。ここでは代表的な検体を分別し、おすすめの輸送会社をピックアップしています。