尿・便の検体輸送は、人や動物の排泄物を運搬するというセンシティブな作業です。輸送時は温度管理や安全管理が必要になるなど、いくつかの注意点があります。ここでは、尿・便の検体輸送に関して押さえておきたいことをまとめました。
尿・便の検体輸送は、人や動物から排出される尿や糞便などを採取して運搬する作業です。排泄物の検体は医学的な研究や分析に利用され、感染症の診断や消化器系の健康評価など幅広い領域で貢献しています。
一方、検体輸送では品質保持が重要なテーマとなるため、尿・便の検体を輸送するときは以下のようなポイントに注意する必要があります。
有用なデータを取るために必要な検体は、いかに品質を安定させたまま運ぶかが課題。検体によって適切な温度や衝撃対策は違うため、個々の検体を運ぶのに優れた強みを持つ輸送会社を選びましょう。
このサイトでは代表的な医療検体を「生体検体」「乾燥・凍結検体」「実験動物検体」に分け、それぞれのおすすめ輸送会社を紹介しています。依頼先選びの参考にしてみてください。
尿・便の検体を輸送する際に押さえておくべきポイントは、温度管理と安全管理です。それぞれの注意点と対策を紹介します。
検体輸送では内容物の品質を一定に保つため、輸送中の温度管理が不可欠となります。検体の種類によって、4℃以下(冷蔵)または-20℃以下(冷凍)で保存し運搬するのが一般的です。
検体の温度管理が適切に行われていない場合、内容物の性質が変化して検査・分析結果に影響を与える可能性があります。そのため、尿・便の検体輸送では、検体の温度を適切に管理することが大事です。
検体輸送では、衝撃や振動などによる検体の破損や漏出を防止するための安全管理も重要です。包装・梱包に関しては、一次容器・二次容器・三次容器を用いた三重包装を使用することで、検体の破損や漏出を防ぐことができます。
その他、容器に緩衝材を入れてしっかりと固定することや、容器に入れる検体の量を調整することも必要です。尿検体の場合、漏出防止のため、容器に対して満タンにするのではなく、容器の7割までとすることが推奨されています。
尿・便といった排泄物の検体輸送には、一般的な配送とは異なる専門性が求められます。検体の品質を維持しつつ、安全に目的地まで届けるためには、厳密な温度管理や漏出防止をはじめとした高い技術力と経験が不可欠です。そのため、尿・便の検体輸送を安心して任せられる実績ある輸送会社を選ぶことが重要となります。
ここでは、尿・便の検体輸送に豊富な経験を持ち、信頼できる対応を行っている輸送会社をいくつか紹介します。自社での輸送体制や取り扱い実績、対応エリアなどを比較検討しながら、最適なパートナー選びの参考にしてください。
アスクトランスポートは、輸送事業を幅広く展開している企業で、培ってきたノウハウを活かし、クライアントのニーズに応じた最適な検体輸送ソリューションを提供しています。高品質な輸送サービスを支えるために、ドライバーの教育やホスピタリティの向上にも力を入れ、24時間365日体制で対応可能な体制を整えています。
検体輸送においては、厳格な温度管理が可能な資材や車両を活用。
輸送BOXは温度帯(常温・冷蔵・凍結・極低温)を4種類から選択可能で、最大96時間の保冷・保温性能を備えています。また、輸送中の衝撃を抑えるために防振パレットを使用し、検体の品質を保持します。
車両にはコンピューター制御の温度設定装置付き後室が備わっており、-10℃〜60℃まで対応できる高精度温度管理が可能です。これにより、輸送中の温度変化を最小限に抑える体制が構築されています。
治験や再生医療など、温度にシビアな検体輸送においても豊富な実績があります。
会社名 | アスクトランスポート |
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輸送できる検体 | 臨床検体・治験・試薬試料・医薬品・再生医療など |
温度管理方法 | 温度ロガー・保冷ボックス・ドライアイス・ドライシッパー |
保有車両 | 温度管理車両 |
輸送手段 | フルチャーター・ハーフチャーター・ハンドキャリー |
輸送実績 | 治験 12,000件 試薬・試料 3,400件 再⽣医療 300件 ※参照元(2023年3⽉~4⽉のデータ):アスクトランスポート公式HP(https://alpha-temp.com/) |
会社所在地 | 東京都港区芝浦4-12-38 |
電話番号 | 03-3456-3474 |
公式サイト | https://ask-tr.jp/ |
佐川グローバルロジスティクスは、佐川急便をはじめとした物流企業グループの一員として、検体輸送を含む医療分野への高品質なロジスティクスサービスを提供しています。人手不足やDX推進といった社会的課題にも対応し、効率的かつ安定した配送体制を構築しています。
検体輸送にはコスト負担軽減のため、資材と輸送をパッケージ化した「検体輸送パック」を展開しており、料金の均一化によってクライアントの経済的負担を軽減しています。
輸送資材には、冷蔵・冷凍に対応した三重梱包可能なアイスボックス(温度管理輸送容器)を使用。これらは事前に医療機関へ送付され、スーツ姿の専門スタッフが検体を回収後、安全かつ適切な温度でラボまで配送します。
輸送には航空機・公共交通機関・チャーター便を柔軟に使い分け、指定時間内での正確な配送を実現しています。
会社名 | 佐川グローバルロジスティクス |
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輸送できる検体 | 検体・医薬品・臍帯血 |
温度管理方法 | アイスボックス(温度管理輸送容器) |
保有車両 | チャーター |
輸送手段 | 航空輸送・チャーター・公共機関 |
輸送実績 | 公式サイトに記載がありませんでした。 |
会社所在地 | 東京都品川区勝島1-1-1 |
電話番号 | 03-3768-8504 |
公式サイト | https://www.sagawa-logi.com/ |
セルートは、25年以上にわたるメディカル輸送の経験を活かし、全国に広がるネットワークと確かな品質管理体制で、治験検体や再生医療等製品などの高精度輸送を実現する企業です。GCP・GDPなどの各種ガイドラインに準拠した体制を整え、スタッフの定期研修を通してサービスの質を保っています。
検体輸送には温度ロガー付きの専用保冷ボックスを使用し、温度推移の記録を翌日にPDFで提供することで、クライアントの品質管理ニーズに応えています。航空要件に対応した海外発送用ボックスも完備しており、国内外の輸送に柔軟に対応。バイク・軽四輪・飛行機・公共交通機関を駆使し、24時間以内での配送や当日依頼にも対応できるフットワークの軽さが強みです。
治験検体・細胞・試薬・医薬品など幅広い検体の輸送に対応し、再生医療や治験薬輸送などの実績があります。
会社名 | セルート |
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輸送できる検体 | 治験検体・一般臨床検体・動物病理診断検体・細胞・試薬・医薬品・治験薬・サンプル・医療機器・再生医療等製品・原薬培地など |
温度管理方法 | 温度ロガー・温度管理資材 |
保有車両 | 公式サイトに記載がありませんでした。 |
輸送手段 | バイク・軽四輪・飛行機・公共交通機関 |
輸送実績 | 検体回収・細胞輸送・再生医療・治験薬輸送 |
会社所在地 | 東京都新宿区高田馬場1-31-18 高田馬場センタービル2F |
電話番号 | (フリーコール)0800-919-9966 ※フリーコールにつながらない場合はこちらにおかけください。03-5285-5017(有料) |
公式サイト | https://www.bio-logi.com/ |
日本通運は、日本国内外に広がる物流ネットワークと独自開発の医薬品専用車両を活用し、医療・医薬品輸送分野で高品質な検体輸送サービスを提供しています。輸送物の特性に応じた専用プランを提案できる柔軟性と、温度管理を徹底した安全な輸送体制が強みです。
検体輸送にはS/M/Lの3サイズ展開を持つ「定温マルチBOX II」を活用し、冷蔵・冷凍・常温の複数温度帯に対応する高精度な温度管理が可能です。オプションの温度トレーサーにより、輸送中の温度推移も可視化でき、品質保証に貢献します。
また、独自開発の医薬品専用車両を東日本、西日本、富士、九州の医薬品センターで運用し、リアルタイム監視システムとセキュリティー対策により、安全性の高い輸送サービスを実現しています。
会社名 | 日本通運 |
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輸送できる検体 | 治験薬(フェーズI~フェーズIV)・治験機器・臨床検体・血液検体など |
温度管理方法 | 定温マルチBOX II(オプション) |
保有車両 | 公式サイトに記載がありませんでした。 |
輸送手段 | 陸・海・空の輸送モード |
輸送実績 | 公式サイトに記載がありませんでした。 |
会社所在地 | 東京都千代田区神田和泉町2 |
電話番号 | 03-5801-1111 |
公式サイト | https://www.nittsu.co.jp/sora/medical/ |
リンケージは、多様な検体を対象とした輸送を行っています。
検体は、外気の影響を受けにくい専用輸送ボックスに収容され、保冷材やドライアイスの活用により-20℃以下から2〜8℃までの温度帯に対応可能です。温度ロガーによる温度記録も可能で、品質保持とトレーサビリティを確保。バイク・軽四輪車などを活用し、緊急当日配送や時間指定・ルート配送にも柔軟に対応しています。
さまざまな情報を預かる事業を展開しているため、国際規格であるISO27001に準拠した「情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)」を構築し、セキュリティの確保に努めている会社です。
会社名 | リンケージ |
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輸送できる検体 | 全血・血清・血漿・細胞・組織・尿・便・スワブ、治験薬・医薬品・ワクチン |
温度管理方法 | 温度ロガー・ドライアイス・保冷材・専用ボックス |
保有車両 | バイク・軽四輪など |
輸送手段 | 陸送・空輸・鉄道など |
輸送実績 | 処方箋薬・治験検体・PCR検体 |
会社所在地 | 大阪府大阪市北区東天満1-2-6 |
電話番号 | 06-6355-0261 |
公式サイト | https://www.bs-linkage.jp/lp/index.html |
尿・便の検体輸送では、運搬中の品質低下と破損・漏出を防ぐため、徹底した温度管理と安全対策が必要です。冷蔵輸送や冷凍輸送、三重梱包を行うことで対応することができます。
温度管理は検体の種類に応じてきめ細かく調整する必要があるほか、包装・梱包も検体の性質に応じて適切に行わなければなりません。
こうした点を考えると、尿・便の検体輸送を正確に行うためには専門業者に依頼するのがおすすめです。
検体を一般貨物で送るのは、多大なるリスクを伴います。冷蔵・冷凍保存したとしても、その温度が適切に維持できていなければ品質劣化を招きます。劣化した検体からは、正しいデータは取れません。
といっても、すべての検体に温度管理が必要なわけではなく、重要なのは検体にマッチした適切な輸送方法かどうか。ここでは代表的な検体を分別し、おすすめの輸送会社をピックアップしています。