血液の検体輸送では、いくつかの法律や規制を遵守しながら適切に行う必要があります。ここでは特に大事な温度管理を中心に、血液の検体輸送のポイントや注意点を紹介します。血液の検体輸送を行う場合は参考にしてください。
血液の検体輸送で気をつけておくべき規制や注意点には、感染症法における感染症対策や厳密な温度管理があります。
感染症対策では、血液を輸送する際、三重梱包(一次容器・二次容器・三重容器)を使用して品質を保ちながら適切に運搬することが必要です。これによって血液の輸送中の感染を防ぐことができます。
同様に、血液の検体輸送では徹底した温度管理も重要です。輸送中に適切な温度管理を行うことで、血液の品質と高い安全性を保ちながら適切に輸送することができます。ただし、血液の種類によって管理の仕方が異なることを覚えておきましょう。
時間による劣化が著しく、厳密な温度管理も必要な血液輸送には、不安定な状態の検体を運ぶのに強い輸送会社選びが重要です。
例えばロガーを使った温度変化のチェック体制や、専用の輸送ボックスを使用しているところは信頼できます。時間制限のある検体なので、トラブル発生時は陸送以外の手段も使えると、なお安心できるでしょう。
このサイトでは代表的な医療検体を「生体検体」「乾燥・凍結検体」「実験動物検体」に分け、それぞれのおすすめ輸送会社を紹介しています。依頼先選びの参考にしてみてください。
血液の輸送と一口に言っても、さまざまな種類があります。幹細胞・臍帯血のような生の血液だけでなく、血液製剤のように加工したものもあります。血液の種類別に温度管理のポイントをまとめました。
血液製剤には、赤血球製剤、血小板製剤、血漿製剤などの種類があります。それぞれの特徴と温度管理の方法を紹介します。
赤血球製剤は、血液から血漿・白血球・血小板の大部分を取り除いた輸血用血液製剤の一種です。輸送中は適切な温度管理が必要とされ、2℃~6℃の範囲を保って輸送します。
血小板製剤は、血液の止血機能を持つ血小板を採取・加工した輸血用血液製剤です。適切な温度管理が必要で、20℃~24℃の範囲を保って輸送をします。
血漿製剤は、血液から血漿と呼ばれる血液凝固因子を取り出してつくった血液製剤です。-40℃以下で凍結保存されますが、輸送温度は-20℃以下となっています。
生の血液には、末梢血幹細胞や臍帯血などがあります。それぞれの概要と適切な輸送温度を紹介します。
末梢血幹細胞は、造血の役割を担っている血液の一種です。通常は骨髄に存在していますが、特定の条件下で血液中に流れ出すことがあります。輸送に適した温度は-150℃以下となっています。
臍帯血は、へその緒や胎盤に含まれる血液の一種です。白血病など難病の治療に役立てられています。輸送に際しては低温状態での温度管理を必要とし、-150℃以下で輸送することが勧められています。
血液の検体輸送では、輸送中のわずかな温度変化が検体の品質に大きく影響するため、高度な温度管理技術とトラブルへの対応力を備えた輸送会社の選定が欠かせません。定温輸送のための専用の保冷ボックスや、温度変化をチェックするロガーを用いた管理体制、さらに緊急時に陸送以外の手段が取れる柔軟性などは、輸送の安全性を左右する重要なポイントです。
ここでは、そうした血液輸送に対応した体制や実績が公式に確認できる検体輸送会社をいくつか紹介します。自社の輸送ニーズに合った業者を検討する際の参考にしてください。
アスクトランスポートは、輸送事業を幅広く展開している企業で、培ってきたノウハウを活かし、クライアントのニーズに応じた最適な検体輸送ソリューションを提供しています。高品質な輸送サービスを支えるために、ドライバーの教育やホスピタリティの向上にも力を入れ、24時間365日体制で対応可能な体制を整えています。
アスクトランスポートでは、血液を含む検体輸送において、厳格な温度管理が可能な資材や車両を活用しています。
輸送BOXは温度帯(常温・冷蔵・凍結・極低温)を4種類から選択可能で、最大96時間の保冷・保温性能を備えています。また、輸送中の衝撃を抑えるために防振パレットを使用し、検体の品質を保持します。
車両にはコンピューター制御の温度設定装置付き後室が備わっており、-10℃〜60℃まで対応できる高精度温度管理が可能です。これにより、輸送中の温度変化を最小限に抑える体制が構築されています。
治験や再生医療など、温度にシビアな検体輸送においても豊富な実績があります。
会社名 | アスクトランスポート |
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輸送できる検体 | 臨床検体・治験・試薬試料・医薬品・再生医療など |
温度管理方法 | 温度ロガー・保冷ボックス・ドライアイス・ドライシッパー |
保有車両 | 温度管理車両 |
輸送手段 | フルチャーター・ハーフチャーター・ハンドキャリー |
輸送実績 | 治験 12,000件 試薬・試料 3,400件 再⽣医療 300件 ※参照元(2023年3⽉~4⽉のデータ):アスクトランスポート公式HP(https://alpha-temp.com/) |
会社所在地 | 東京都港区芝浦4-12-38 |
電話番号 | 03-3456-3474 |
公式サイト | https://ask-tr.jp/ |
佐川グローバルロジスティクスは、佐川急便をはじめとした物流企業グループの一員として、検体輸送を含む医療分野への高品質なロジスティクスサービスを提供しています。人手不足やDX推進といった社会的課題にも対応し、効率的かつ安定した配送体制を構築しています。
同社はコスト負担軽減のため、資材と輸送をパッケージ化した「検体輸送パック」を展開しており、料金の均一化によってクライアントの経済的負担を軽減しています。
輸送資材には、冷蔵・冷凍に対応した三重梱包可能なアイスボックス(温度管理輸送容器)を使用。これらは事前に医療機関へ送付され、スーツ姿の専門スタッフが検体を回収後、安全かつ適切な温度でラボまで配送します。
輸送には航空機・公共交通機関・チャーター便を柔軟に使い分け、指定時間内での正確な配送を実現しています。
会社名 | 佐川グローバルロジスティクス |
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輸送できる検体 | 検体・医薬品・臍帯血 |
温度管理方法 | アイスボックス(温度管理輸送容器) |
保有車両 | チャーター |
輸送手段 | 航空輸送・チャーター・公共機関 |
輸送実績 | 公式サイトに記載がありませんでした。 |
会社所在地 | 東京都品川区勝島1-1-1 |
電話番号 | 03-3768-8504 |
公式サイト | https://www.sagawa-logi.com/ |
セルートは、25年以上にわたるメディカル輸送の経験を活かし、全国に広がるネットワークと確かな品質管理体制で、治験検体や再生医療等製品などの高精度輸送を実現する企業です。GCP・GDPなどの各種ガイドラインに準拠した体制を整え、スタッフの定期研修を通してサービスの質を保っています。
セルートでは、治験検体・細胞・試薬・医薬品など幅広い検体の輸送に対応し、再生医療や治験薬輸送などの実績があります。
輸送には温度ロガー付きの専用保冷ボックスを使用し、温度推移の記録を翌日にPDFで提供することで、クライアントの品質管理ニーズに応えています。航空要件に対応した海外発送用ボックスも完備しており、国内外の輸送に柔軟に対応しています。
バイク・軽四輪・飛行機・公共交通機関を駆使し、24時間以内での配送を実現。当日依頼にも対応できるフットワークの軽さが強みです。
会社名 | セルート |
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輸送できる検体 | 治験検体・一般臨床検体・動物病理診断検体・細胞・試薬・医薬品・治験薬・サンプル・医療機器・再生医療等製品・原薬培地など |
温度管理方法 | 温度ロガー・温度管理資材 |
保有車両 | 公式サイトに記載がありませんでした。 |
輸送手段 | バイク・軽四輪・飛行機・公共交通機関 |
輸送実績 | 検体回収・細胞輸送・再生医療・治験薬輸送 |
会社所在地 | 東京都新宿区高田馬場1-31-18 高田馬場センタービル2F |
電話番号 | (フリーコール)0800-919-9966 ※フリーコールにつながらない場合はこちらにおかけください。03-5285-5017(有料) |
公式サイト | https://www.bio-logi.com/ |
日本通運は、日本国内外に広がる物流ネットワークと独自開発の医薬品専用車両を活用し、医療・医薬品輸送分野で高品質な検体輸送サービスを提供しています。輸送物の特性に応じた専用プランを提案できる柔軟性と、温度管理を徹底した安全な輸送体制が強みです。
日本通運では、血液検体や治験薬、臨床検体などを対象とした検体輸送に対応。
S/M/Lの3サイズ展開を持つ「定温マルチBOX II」を活用し、冷蔵・冷凍・常温の複数温度帯に対応する高精度な温度管理が可能です。オプションの温度トレーサーにより、輸送中の温度推移も可視化でき、品質保証に貢献します。
また、独自開発の医薬品専用車両を東日本、西日本、富士、九州の医薬品センターで運用し、リアルタイム監視システムとセキュリティー対策により、安全性の高い輸送サービスを実現しています。
会社名 | 日本通運 |
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輸送できる検体 | 治験薬(フェーズI~フェーズIV)・治験機器・臨床検体・血液検体など |
温度管理方法 | 定温マルチBOX II(オプション) |
保有車両 | 公式サイトに記載がありませんでした。 |
輸送手段 | 陸・海・空の輸送モード |
輸送実績 | 公式サイトに記載がありませんでした。 |
会社所在地 | 東京都千代田区神田和泉町2 |
電話番号 | 03-5801-1111 |
公式サイト | https://www.nittsu.co.jp/sora/medical/ |
リンケージは約30年にわたり、医療・メディカル分野における検体輸送サービスを提供してきた実績を持つ企業です。安全性と正確性を重視した輸送体制を構築し、緊急性の高い検体輸送にも柔軟に対応しています。
リンケージでは、全血・血清・血漿・細胞・組織などの多様な検体を対象とした輸送を行っています。
検体は、外気の影響を受けにくい専用輸送ボックスに収容され、保冷材やドライアイスの活用により-20℃以下から2〜8℃までの温度帯に対応可能です。
温度ロガーによる温度記録も可能で、品質保持とトレーサビリティを確保しています。
バイク・軽四輪車などを活用し、緊急当日配送や時間指定・ルート配送にも柔軟に対応しています。
会社名 | リンケージ |
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輸送できる検体 | 全血・血清・血漿・細胞・組織・尿・便・スワブ、治験薬・医薬品・ワクチン |
温度管理方法 | 温度ロガー・ドライアイス・保冷材・専用ボックス |
保有車両 | バイク・軽四輪など |
輸送手段 | 陸送・空輸・鉄道など |
輸送実績 | 処方箋薬・治験検体・PCR検体 |
会社所在地 | 大阪府大阪市北区東天満1-2-6 |
電話番号 | 06-6355-0261 |
公式サイト | https://www.bs-linkage.jp/lp/index.html |
血液の検体輸送では、感染症対策や温度管理などの規制や注意点を押さえておくことが大切です。血液の品質を保ちながら適切かつ正確に輸送するためには、三重梱包や厳密な温度管理を行うなど高度な取り組みが必要となります。
自社で行うことも可能ですが、経験とノウハウを持つプロの業者に依頼するのが良いでしょう。
検体を一般貨物で送るのは、多大なるリスクを伴います。冷蔵・冷凍保存したとしても、その温度が適切に維持できていなければ品質劣化を招きます。劣化した検体からは、正しいデータは取れません。
といっても、すべての検体に温度管理が必要なわけではなく、重要なのは検体にマッチした適切な輸送方法かどうか。ここでは代表的な検体を分別し、おすすめの輸送会社をピックアップしています。