検体の品質を保つためにドライアイスを使用して輸送することは有効な手段である一方、気化すると体積が膨張するため破裂事故が起こる恐れがあるなど注意すべきポイントもあります。ここでは、ドライアイスで検体輸送を行うときに知っておくべきルールや、実際に起こっているトラブル事例について紹介します。
検体輸送でドライアイスを使うのは一般的ですが、ドライアイスはその主成分である二酸化炭素の特性により検体品質や作業者の安全に影響を及ぼす恐れがあるため注意が必要です。ここでは、3つのポイントについて解説します。
ドライアイスは国際航空運送協会(IATA)で危険物(IN1845)と分類されています。これは、ドライアイスが昇華して空気に充満すると呼吸困難や窒息のリスクがあるためです。輸送する際には、積載量の制限、危険物申告書の作成、指定ラベルの貼付などが義務付けられています。
ドライアイスは気化すると体積が約800倍に膨張するため、容器が破損・破裂する恐れがあります。そのため、ドライアイスを入れる外側の容器は気化した二酸化炭素を外部へ自然に放散される構造であることが求められます。高い気密性のある密閉容器の中にドライアイスを入れることは厳禁です。
また、ドライアイスにより容器が破裂した際に一次容器が破損するようなことがあれば検体が飛散し、汚染や感染リスクもあります。
※参照元:栄研化学 我が国における病原体輸送の課題と対策(https://www.eiken.co.jp/uploads/modern_media/literature/MM1211_01.pdf)
検体が感染性物質(カテゴリーB:UN3373など)に該当する場合は、国連規格容器を用いた三重梱包を基本としてルールを守る必要があります。カテゴリーBの場合は正式輸送品目名、正味量、カテゴリーBのラベル、荷受人・荷送人の氏名と住所、責任者の氏名と電話番号を三次容器に標示しなければいけません。
ここにドライアイスが入ると、三次容器へのドライアイス標示は不要ですが、外箱には感染性物質の情報と併せてドライアイスの国連番号、正式輸送品目名、内容量、ラベルの貼付・標示が必要です。
遠方輸送時に検体の凍結状態を維持するためにドライアイスを使う場合は、長時間の移動、航空機利用になることで近距離での輸送とは別のリスクが起こり得ます。遠方輸送ならではのトラブルをチェックし、事前に対策しておくことが大切です。
遠方輸送で移動時間が長くなると、事前に計算した量ではドライアイスが足りず、途中で消滅して温度が上昇するため、検体が解凍してしまう恐れがあります。検体が解凍してしまうと品質が劣化し、研究に使えなくなってしまいます。
航空輸送を行う際には、ドライアイスの搭載制限をクリアする必要があります。しかし、ドライアイスの重量記載やラベル貼付、UN3373基準などに不備があると予定していた便に検体を載せられず、輸送が大幅に遅れてしまう恐れがあります。
また、ドライアイスは航空機によって積載できるドライアイスの総重量が決まっています。航空会社に事前に確認しておくことが望ましいでしょう。
ドライアイスと検体の配置が不適切であると、検体が直接ドライアイスに触れて容器が破損する、隙間ができて満遍なく検体が冷却されないなどの恐れがあります。また、ドライアイスは外からの熱によって少しずつ昇華するため、時間経過とともに冷却力が弱くなってしまいます。温度が上がることで検体の品質に影響を及ぼす恐れがあります。
有用なデータを取るために必要な検体は、いかに品質を安定させたまま運ぶかが課題。検体によって適切な温度や衝撃対策は違うため、個々の検体を運ぶのに優れた強みを持つ輸送会社を選びましょう。
このサイトでは代表的な医療検体を「生体検体」「乾燥・凍結検体」「実験動物検体」に分け、それぞれのおすすめ輸送会社を紹介しています。依頼先選びの参考にしてみてください。
ドライアイスを用いた検体輸送を行うにあたり、専門業者のサポートを得るのであれば自社に合うところを選ぶことが大切です。ここでは、専門業者を選ぶポイントを3つ紹介します。
万が一配送が遅れたり利用するフェリーや航空便が欠航したりした際に備えて、ドライアイスを途中で補充できる環境があるかどうかを確認しましょう。配送に想定外の時間がかかってしまう場合でも、途中での補給体制が整っていれば温度を維持したまま検体輸送を行うことができます。
ドライアイスは航空輸送を行う際に危険物に分類されてしまうため、航空法、IATA規則に基づいた正しい梱包を行うことができる業者を選びましょう。適切な輸送準備を行うことで、受領拒否、積載拒否などのリスクを防ぐことができます。輸送、書類作成についてノウハウや実績がある業者を探すと良いでしょう。
ドライアイスでの検体輸送は、リアルタイムに目視で温度を確認することが難しいため、データロガーを用いて見える化すれば発送から到着までの全工程について温度を監視・記録することが大切です。製品が適切な温度範囲内に保たれた状態で輸送したことを証明できます。データロガーを使用した輸送を行っているか、途中で温度が基準範囲から逸脱した際に温度を正常化するための対応がとれるか、全工程の温度ログを開示してもらえるかを確認し、業者選定のポイントとしましょう。
ドライアイスによる検体輸送は、ドライアイスが気化すると体積が膨張することによる容器破損、ドライアイス消失による温度上昇、航空輸送時に危険物扱いとなり重量制限・ラベル表示など規則順守を行う点に注意が必要です。
専門業者を選ぶときには、航空法やIATA規則に基づくルールを守りUN3373梱包にも対応できるか、ドライアイスを途中で補充できるか、データロガーによる品質証明ができるかなどのポイントから選定すると良いでしょう。
検体を一般貨物で送るのは、多大なるリスクを伴います。冷蔵・冷凍保存したとしても、その温度が適切に維持できていなければ品質劣化を招きます。劣化した検体からは、正しいデータは取れません。
といっても、すべての検体に温度管理が必要なわけではなく、重要なのは検体にマッチした適切な輸送方法かどうか。ここでは代表的な検体を分別し、おすすめの輸送会社をピックアップしています。
※参照元:FedEx公式サイト(https://www.fedex.com/ja-jp/about/facts.html)2026年4月調査時点